日本の「安心」はなぜ消えたのか を読んで [読書感想]
1.概要
自分が読んで、得るところが大きかった、何度でも読みたいと思うような本を紹介していきたいと思う。
今回は、「日本の「安心」は、なぜ消えたのか」(山岸俊男 著)で、久々に、新しい知見を得られた本だ。2008年出版だが、もっと前に読むべき本だったと思う。
2.要旨
日本人は、集団でいることが好きだと言われているが、アメリカ人より、実際は、個人主義の人が多いと実験により示されている。それは、周りの人に見張られているシステムが、日本にあるからである。
日本では「和をもって尊し」ということがよく言われるが、「旅の恥はかき捨て」ということばがあるように、自分を知っている人が見ていなければ、いつもマナーを守るわけでもない。
アメリカ人に多い、一般的に人を初めから信頼する人は、人懐こいが、一方、疑いをもったらすぐ、その人を切り捨てることができる。すなわち、人を見抜く力を持っている。
日本人は、人を見抜く力がないので(社会システムからそうなったのか)、集団主義となって、初対面の人をあまり信用しないという、常識と異なるような実験データが得られている。
これから、日本が発展するためには、集団主義社会から、アメリカのような信頼社会になるべきとの考えが提案されている。それが、グローバル化ということで、この波はとめられないと述べられている。
3.感想
日本人は、親切で、和を尊ぶという心を持をもっている民族だと、単順に思っていたが、それは、昔の閉鎖的な村社会、一生その場所に住み続ける世の中で生まれた社会システムに適応したためであり、世の中が変われば、アメリカ的になっていく。
また、アメリカ人は合理的で、ある意味冷たいう思い込みがあったが、日本人より親切で、初めて会う人を信頼する傾向があり、日本人より弱者を助ける気持ちも強いというのは、これまでの自分の常識ををひっくり返されて、知的刺激を受ける本だった。
読む価値がある本だと思う。
日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点 (集英社インターナショナル)
- 作者: 山岸俊男
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/05/31
- メディア: Kindle版
2020-08-09 19:15
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